top of page
検索

「薬膳、効果ないな…」その感想、とても重要です。効果を実感できない5つの理由と今日から変える活用法

  • 執筆者の写真: 道敬 大塚
    道敬 大塚
  • 9月25日
  • 読了時間: 6分
薬膳効果ないイメージ画像

「体質改善に良いと聞いて薬膳を試してみたけど、全然効果を感じない」 「温めると良いって言うから生姜を食べてるけど、かえって調子が悪い気がする」 「薬膳料理は美味しいけど、特別な変化はない。気のせいなのかな?」

このようなお悩みや感想は、決して間違いではありません。むしろ、とても正直で重要なサインです。薬膳はブームのように語られることもありますが、その本質はオーダーメイドの健康法。誰にでも同じように効果が出るわけではなく、やり方を少し間違えると、効果を感じられないどころか、逆に体に合わないこともあります。

この記事では、「薬膳、効果ない」と感じてしまう具体的な理由と、その解決策について詳しくお伝えします。薬膳を単なる「体に良さそうな料理」ではなく、ご自身の体と向き合うための「ツール」として正しく活用する方法を理解すれば、見える世界が変わるかもしれません。

薬膳は「治療」ではなく「養生」。まずは期待する効果の見直しを

「効果ない」と感じる最大の理由は、薬膳に対する期待が「医薬品的」であることかもしれません。

  • 風邪薬のように「すぐに熱が下がる」わけではない

  • 胃薬のように「即、胃もたれが解消する」わけではない

薬膳の目的は、病気を「治す」ことではなく、健康を「育む」こと、つまり「養生(ようじょう)」にあります。病気になりにくい体づくり(未病治)、または病後の回復をサポートすることを目的としています。その作用は穏やかで、積み重ねが大切です。

例えば、土壌改良に例えられます。痩せた土地(虚弱体質)にいきなり大量の肥料(滋養強壮食)を与えても、植物は根焼けを起こしてしまいます。まずは土をほぐし(消化機能を高め)、水はけを良くし(余分な水分を排出し)、少しずつ肥料を加えていくことで、初めて植物が元気に育つ土台ができます。薬膳はこの「土壌改良」のプロセスなのです。1回や2回の食事で体質が変わることは期待できません。

「効果ない」と感じる5つの理由~あなたの薬膳、間違っていませんか?

では、具体的にどのような点が「効果ない」という感想につながるのでしょうか。

理由1: 自分の体質に合っていない(これが最も重要!)

薬膳の基本は「弁証施食(べんしょうししょく)」です。つまり、その人その時の体の状態(証:しょう)を見極めて、適した食材を選ぶことです。

  • よくある失敗例:

    • 「体を温める」と聞いて、毎日生姜を食べ続けたら、のぼせや口内炎ができた。

      • → もともと体に熱がこもりやすい「熱証」の体質の方には、生姜は逆効果になることがあります。

    • 「美肌に良い」と聞いて、白きくらげを食べたが、お腹が張って重だるい。

      • → 消化機能が弱っている「脾虚」の状態の方には、滋潤作用の高いものは消化負担になり、余計な湿気を溜める原因になります。

解決策: まずは自分の体の声を聞くことから始めましょう。今、自分は冷えているのか熱っぽいのか、乾燥しているのかむくんでいるのか、という簡単なセルフチェックが第一歩です。

理由2: 食べ方・調理法が適切ではない

食材そのものは体に合っていても、調理法で効果が台無しになることがあります。

  • よくある失敗例:

    • 体を温めるネギやニラを、冷奴のトッピングとして生で大量に食べる。

      • → ネギやニラは確かに温めますが、冷たい豆腐という「冷やす」食材の影響が強く出て、相殺されてしまいます。スープや炒め物に加える方が効果的です。

    • 消化に良いお粥を食べるが、一気に大量に食べてしまう。

      • → 消化が良くても、胃に一度に入る量が多すぎれば負担になります。少量をよく噛んで食べることが基本です。

解決策: 食材の特性を活かす調理法を意識しましょう。温める食材は加熱調理で、冷やす食材はさっと火を通すなど、基本の「温活」を心がけます。

理由3: 生活習慣が食材の効果を打ち消している

せっかく薬膳的な食事を心がけても、それ以外の生活がその効果を打ち消していたら、意味がありません。

  • よくある失敗例:

    • 温かいスープを飲んでも、すぐに冷たいエアルギュッと飲む。

    • 就寝直前に食事をして、胃を休める時間がない。

    • 過度なストレスや睡眠不足が続いている。

解決策: 食事は養生の一部に過ぎません。睡眠、運動、ストレス管理など、総合的な生活習慣を見直さなければ、薬膳の効果は感じにくいでしょう。

理由4: 即効性を求めすぎている

前述の通り、薬膳の効果は穏やかで、長期的なものです。「1週間続けたけど変わらない」のは当然です。数ヶ月、あるいは数年かけて体質を変えていくものだという認識が必要です。

理由5: 情報が断片的で、バランスが取れていない

「〇〇に効く!」という特定の食材ばかりに注目し、食事全体のバランスが偏っている可能性があります。薬膳は「マゴワヤサシイ」といった基本的な栄養バランスの上に成り立つものです。

「効果ない」から「効果を実感する」に変える、3つの実践ステップ

では、どうすれば良いのでしょうか。難しい理論は一旦置いて、以下のステップから始めてみてください。

ステップ1: やめることから始める「引き算の薬膳」

いきなり「何を食べるか」を増やすのではなく、まずは「体に負担をかけるものを減らす」ことから始めましょう。これだけでも胃腸は休まり、体調の変化を感じやすくなります。

  • 具体例:

    • 冷たい飲み物を、常温または温かい飲み物に変える。

    • 深夜の食事をやめる。

    • 揚げ物や甘いお菓子の頻度を週に1回減らす。

これらは、どんな体質の方にも共通する基本の養生です。まずはここから始めてみると、体が軽くなる感覚を味わえるかもしれません。

ステップ2: 自分の体と対話する「体質チェック」の習慣

難しく考えず、毎日自分の体調を観察するクセをつけましょう。

  • 今日の舌の状態は?(白い苔がべっとり? 赤くて乾いている?)

  • 今日の大便の状態は?(形がある? 軟らかい? 出にくい?)

  • 手足は冷えている? ほてっている?

  • 喉は渇く? それほどでもない?

この観察記録が、自分に合った食材を選ぶ最高のデータベースになります。


ステップ3: 基本の「土台」を作る食事を最優先する

特別な食材を探す前に、以下の3つを最優先してください。これは全ての体質の基礎となる「脾(消化機能)」を強くします。

  1. 規則正しく、よく噛んで食べる。

  2. 主食(お米など)を中心とした和食のバランスを心がける。

  3. 温かい料理を必ず一品取り入れる。


まとめ:効果がないのは、あなたのせいではなく、方法かもしれない

「薬膳、効果ない」という感想は、薬膳があなたの個性に合わせた奥深いものであることの証です。マニュアル通りの方法では、うまくいかないことが多いのです。

効果を実感できないのは、あなたの努力が足りないのではなく、ただ単に現在の方法があなたの独自の体質や生活リズムに合っていないだけかもしれません。

この記事をきっかけに、自分なりの薬膳を見つける旅を始めてみてはいかがでしょうか。まずは「引き算」から。そして、ご自身の体の声に耳を傾けることから。それが、薬膳の効果を実感する一番の近道です。


※この記事でご紹介した内容は、薬膳の考え方に基づく食養生の一例です。病気の治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医師または専門家にご相談ください。

 
 
bottom of page