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薬膳と花の関係|美と健康を育む花の薬膳的活用法

  • 執筆者の写真: 道敬 大塚
    道敬 大塚
  • 9月22日
  • 読了時間: 5分

薬膳と花のイメージ画像

可憐に咲き、私たちの心を癒してくれる花。実は、薬膳の世界でも花は古くから大切に扱われてきたことをご存知でしょうか?美しさだけでなく、香りや味、そして体へのやさしい働きかけで、日々の健康をサポートしてくれる花の数々。この記事では、薬膳における花の役割、代表的な食用花の効能、そして今日からできる花を取り入れた薬膳レシピまでをご紹介します。花の持つ力を借りて、心と体のバランスを整える豊かな時間を過ごしてみませんか。

薬膳における花の役割|五感で楽しむ養生法

薬膳の考え方では、花は視覚、嗅覚、味覚といった五感を通じて心身に働きかける優れた食材として位置づけられています。中医学では「心(しん)」は精神や情緒をつかさどる臓器と考えられており、美しい花の色や香りは、この「心」に直接働きかけ、イライラを鎮め、気持ちをリラックスさせる作用があるとされています。

さらに、多くの花には、体の「気」(エネルギー)の流れをスムーズにし、停滞した「気」を巡らせる「理気(りき)」の作用や、体の余分な熱を冷ます「清熱(せいねつ)」の作用があるとされています。つまり、花は心の不調だけでなく、体のバランスも整えるデリケートで優れた薬膳素材なのです。

代表的な食用花と薬膳的アプローチ

ここでは、特に薬膳でよく用いられる花と、その性質や期待できるサポートについてご紹介します。あくまで食品としての日常的な摂取によるサポートであり、効果を保証するものではありません。

1. 菊の花(菊花)

  • 性質:涼性、甘味・苦味

  • 期待できるサポート

    • 菊の花は、頭や目の充血、のぼせなどを鎮め、体の余分な熱を冷ます「清熱」作用に優れています。スマホやPCの使いすぎで目が疲れたり、充血したりした時に。

    • 香りにはリラックス効果があり、イライラや緊張を和らげるサポートが期待できます。

  • 楽しみ方:乾燥菊花をお湯で淹れて菊花茶として。お粥に散らしたり、お酒に漬け込んでも。


2. 玫瑰(まいかい)・バラの花

  • 性質:温性、甘味・微苦味

  • 期待できるサポート

    • バラの花は「気」の流れを良くする「理気」作用の代表格。ストレスや緊張でため息が出たり、胸やお腹が張って苦しい感じがする時に、気の巡りを良くするサポートが期待できます。

    • 血行を促進するため、冷えや生理不順の緩和にも用いられます。女性特有の不調と相性の良い花です。

  • 楽しみ方:ジャムやはちみつ漬け、シロップにして。紅茶に浮かべれば華やかなブレンドティーに。

3. 金木犀(きんもくせい)の花

  • 性質:温性、辛味

  • 期待できるサポート

    • 芳醇な香りが特徴の金木犀は、冷えによる咳や痰(たん)を鎮めるサポートに。

    • 強い香りは「気」の流れを良くし、胃もたれや食欲不振を改善するサポートが期待できます。

  • 楽しみ方:花をはちみつや氷砂糖に漬け込んで、香り高いシロップやジャムに。お湯で割って飲むと体が温まります。


4. 茉莉花(まつりか)・ジャスミン

  • 性質:平性、辛味・甘味

  • 期待できるサポート

    • ジャスミンの清々しい香りは、気分をリフレッシュさせ、ストレスを緩和するサポートに最適です。

    • 胃の機能を高め、消化を促進する作用もあると言われています。

  • 楽しみ方:緑茶とブレンドした茉莉花茶(ジャスミンティー)として楽しむのが一般的。そのままホットでもアイスでも。


5. 桜の花

  • 性質:温性、甘味

  • 期待できるサポート

    • 桜の花には、気の流れを整え、お腹の調子を整える作用があると考えられています。

    • 塩漬けにした桜の花のお湯割りは、二日酔いの緩和にも。

  • 楽しみ方:塩漬けの桜を湯呑みに浮かべた桜湯が定番。お菓子や料理の飾りとしても。

花を薬膳に取り入れる3つの実践法

  1. 花茶(はなちゃ)として楽しむ最も手軽な方法です。乾燥した花をお湯で淹れるだけで、その花の持つ香りと性質を手軽に取り入れられます。一種類でも、いくつかブレンドしても楽しめます。

  2. はちみつやオイルに漬け込む瓶に花とはちみつ(またはオイル)を交互に入れて漬け込む「花浸し」は、花のエキスを余すことなくいただけます。はちみつはヨーグルトやドレッシングに、オイルはサラダやパスタに活用できます。

  3. 料理のアクセントに散らすエディブルフラワー(食用花)をサラダやスープ、デザートに散らすだけで、見た目が華やかになるだけでなく、ほのかな風味と薬膳の効果を添えることができます。

花を食べる際の注意点

  • 食用可能なものを選ぶ:観賞用の花は農薬が使われている場合が多いので、必ず「食用」として販売されているものを購入しましょう。自家栽培する場合も、食用であることを確認し、無農薬で育てましょう。

  • アレルギーに注意:花粉アレルギーや花に対するアレルギーがある方は、十分に注意し、体調に異変を感じたらすぐに中止してください。

  • 過剰摂取は避ける:花はデリケートな作用を持つ素材です。大量に摂取せず、適量を楽しむように心がけましょう。

  • 薬膳は食品です:花も立派な食品の一つです。病気の治療を目的とするものではなく、あくまで健康維持のための養生の一環としてお楽しみください。

まとめ:花は、五感で楽しむ最高の薬膳

薬膳と花の関係は、単なる食材としての枠を超え、視覚、嗅覚、味覚すべてを刺激する総合的な養生法です。

美しい花の色を見て心が癒され、芳醇な香りに気分がリフレッシュし、ほのかな味わいが体を内側から整えてくれる。花の薬膳は、日常にほんの少しの彩りと安らぎを与え、健やかで豊かな生活を送るための手助けをしてくれます。ぜひ、ご自身のお気に入りの花を見つけて、そのやさしい力を生活に取り入れてみてください。

免責事項:本記事でご紹介した内容は、中医学(薬膳)の知識に基づく一般的な情報です。効果・効能を保証するものではなく、医療行為を目的としたものではありません。体調に不安がある場合や治療中の方は、必ず医師や専門家にご相談ください。食用花を摂取する際は、自身の体質と体調を十分にご確認の上、自己責任でお願いいたします。

 
 
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