薬膳の赤い食材|心を養い血を補うとされる食材の特性と活用法
- 道敬 大塚
- 9月22日
- 読了時間: 9分

「薬膳で赤い食材にはどんな意味があるの?」「赤い食材はどんな時に取り入れるといいの?」そんな疑問をお持ちではありませんか?薬膳では、食材の色にも重要な意味があり、特に赤い食材は「心」と「血」に関わる特性があるとされています。この記事では、薬膳における赤い食材の特性と、現代生活での活用方法について詳しく解説します。
薬膳における色彩理論と赤い食材
五色理論の基本概念
薬膳では、中医学の「五行学説」に基づいて、食材を五つの色に分類します。それぞれの色が特定の臓腑と関係があるとされ、赤い食材は特に「心」と深い関わりがあると考えられています。
五色と対応する臓腑:
赤(紅):心・小腸系
黄:脾・胃系
白:肺・大腸系
黒:腎・膀胱系
緑(青):肝・胆系
赤い食材の中医学的特性
心との関係: 中医学において「心」は、血液の循環だけでなく、精神活動や感情のコントロールも司るとされています。赤い食材は、この「心」の働きをサポートするとされています。
血との関係: 赤い食材は「血を補う」「血の巡りを良くする」とされ、血液に関わる不調のサポートに用いられてきました。
赤い食材の一般的な特性:
温性のものが多い(体を温める)
甘味を持つものが多い
エネルギーを補うとされる
血の巡りをサポートするとされる
心の安定に良いとされる
代表的な薬膳の赤い食材一覧
果実類
ナツメ(大棗)
中医学的特性:補中益気、養血安神
色の特徴:深い赤褐色
伝統的用途:疲労や不眠の時のサポート
現代での活用:そのまま食べる、薬膳茶、お菓子作り
調理のポイント:そのまま食べても、煮出しても美味しい
栄養面:食物繊維、カリウム、鉄分が豊富
クコの実(枸杞子)
中医学的特性:滋補肝腎、益精明目
色の特徴:鮮やかなオレンジ赤
伝統的用途:目の疲れや肝の働きをサポート
現代での活用:サラダ、ヨーグルト、スムージー
調理のポイント:水で戻してから使用
栄養面:βカロテン、ビタミンC、アミノ酸が豊富
ローズヒップ
中医学的特性:滋陰清熱、生津潤燥
色の特徴:明るい赤色
伝統的用途:美容と免疫サポート
現代での活用:ハーブティー、ジャム、サプリメント
調理のポイント:種を取り除いて使用
栄養面:ビタミンCが非常に豊富
さくらんぼ(桜桃)
中医学的特性:補中益気、祛風湿
色の特徴:艶やかな赤色
伝統的用途:春の気の巡りをサポート
現代での活用:生食、コンポート、ジュース
調理のポイント:新鮮なうちに食べる
栄養面:アントシアニン、ビタミンCが豊富
根菜類
人参(紅蘿蔔)
中医学的特性:補脾健胃、化痰止咳
色の特徴:鮮やかなオレンジ色
伝統的用途:消化器系のサポート
現代での活用:炒め物、煮物、ジュース
調理のポイント:油と一緒に調理すると栄養吸収が良い
栄養面:βカロテンが非常に豊富
赤大根(紅蘿蔔)
中医学的特性:清熱解毒、消食化滞
色の特徴:外皮が赤い大根
伝統的用途:消化促進と解毒サポート
現代での活用:サラダ、漬物、煮物
調理のポイント:皮も一緒に食べると良い
栄養面:アントシアニン、ビタミンCが豊富
肉類・魚介類
牛肉(赤身)
中医学的特性:補脾胃、益気血
色の特徴:深い赤色
伝統的用途:体力回復と血のサポート
現代での活用:ステーキ、煮込み料理、スープ
調理のポイント:適度な加熱で栄養を保つ
栄養面:鉄分、タンパク質、ビタミンB群が豊富
羊肉
中医学的特性:温中暖下、補腎助陽
色の特徴:赤みがかった肉色
伝統的用途:冬の体温維持と腎のサポート
現代での活用:鍋料理、煮込み、炒め物
調理のポイント:生姜と合わせると臭みが取れる
栄養面:鉄分、タンパク質、ビタミンB12が豊富
エビ(海老)
中医学的特性:補腎助陽、通乳托毒
色の特徴:茹でると美しい赤色
伝統的用途:腎の働きと生命力のサポート
現代での活用:炒め物、蒸し料理、スープ
調理のポイント:新鮮なものを短時間で調理
栄養面:タンパク質、タウリン、カルシウムが豊富
豆類・種子類
小豆(赤小豆)
中医学的特性:清熱解毒、利水消腫
色の特徴:深い赤茶色
伝統的用途:むくみの改善と解毒サポート
現代での活用:あんこ、お粥、薬膳茶
調理のポイント:十分に茹でて柔らかくする
栄養面:食物繊維、カリウム、サポニンが豊富
紅花(サフラワー)
中医学的特性:活血通経、散瘀止痛
色の特徴:鮮やかな赤色
伝統的用途:血の巡りと女性の健康サポート
現代での活用:薬膳茶、料理の色付け
調理のポイント:少量で美しい色が出る
栄養面:リノール酸、ビタミンEが豊富
体質別・体調別の赤い食材活用法
血虚体質の方への活用
血虚体質の特徴:
顔色が悪い、唇の色が薄い
髪がパサつく、爪が割れやすい
めまいや立ちくらみが多い
生理不順や月経量が少ない
おすすめの赤い食材:
ナツメ:血を養うとされる代表的な食材
クコの実:肝血を補うとされる
牛肉(赤身):鉄分豊富で血のサポート
小豆:穏やかに血をサポート
活用例:
朝食にナツメ入りのお粥
おやつにクコの実とナツメの組み合わせ
夕食に牛肉と人参の煮物
心気虚体質の方への活用
心気虚体質の特徴:
動悸や息切れをしやすい
不安感や驚きやすい
不眠や浅眠が多い
集中力が続かない
おすすめの赤い食材:
ナツメ:心を安定させるとされる
竜眼肉(赤い果実):心血を補うとされる
さくらんぼ:心の気を補うとされる
ローズ:気分を明るくするとされる
活用例:
就寝前のナツメ茶
午後のリラックスタイムにローズティー
デザートに竜眼肉とナツメのコンポート
冷え性体質の方への活用
冷え性体質の特徴:
手足が冷える
温かいものを好む
消化が弱い
元気が出ない
おすすめの赤い食材:
羊肉:体を温めるとされる
エビ:温陽作用があるとされる
生姜:温める作用の代表食材
シナモン:温性のスパイス
活用例:
冬の鍋に羊肉をメイン食材として
エビと野菜の炒め物
人参と生姜のスープ
季節別赤い食材の活用法
春の赤い食材活用(3-5月)
春の体の特徴:
肝の働きが活発になる
新陳代謝が上がる
デトックスの季節
血の巡りを良くしたい時期
おすすめの赤い食材:
さくらんぼ:春の代表的な赤い果実
人参:肝の働きをサポート
紅花:血の巡りをサポート
いちご:春の美容食材
春の薬膳レシピ例:
さくらんぼとヨーグルトのスムージー
人参と春野菜のサラダ
いちごとローズヒップのフルーツティー
夏の赤い食材活用(6-8月)
夏の体の特徴:
心の働きが活発になる
汗で血液濃度が上がりやすい
暑さで食欲が落ちやすい
水分と栄養の補給が重要
おすすめの赤い食材:
トマト:夏の代表的な赤い野菜
すいか:水分と栄養の補給
赤ピーマン:ビタミンCが豊富
ローズヒップ:美容と免疫サポート
夏の薬膳レシピ例:
冷製トマトスープ
すいかとミントのサラダ
赤ピーマンとエビの炒め物
秋の赤い食材活用(9-11月)
秋の体の特徴:
乾燥対策が重要
肺の働きをサポートしたい
血の巡りを良くして冬に備える
免疫力を高めたい時期
おすすめの赤い食材:
柿:秋の代表的な赤い果実
りんご:肺を潤すとされる
人参:免疫力サポート
紅棗(ナツメ):冬に向けての体力づくり
秋の薬膳レシピ例:
柿とナッツのサラダ
りんごとシナモンの温かいコンポート
人参とかぼちゃのポタージュ
冬の赤い食材活用(12-2月)
冬の体の特徴:
腎の働きをサポートしたい
体を温める必要がある
エネルギーを蓄えたい
血の巡りを良くしたい
おすすめの赤い食材:
羊肉:冬の温活食材
ナツメ:エネルギーサポート
エビ:腎の働きをサポート
黒豆(表面が赤黒い):腎を補うとされる
冬の薬膳レシピ例:
羊肉と人参の煮込み
ナツメと生姜の温活スープ
エビと野菜の温かい炒め物
赤い食材を使った薬膳レシピ
血を補うナツメとクコの実のお茶
材料(2人分):
ナツメ:5個
クコの実:大さじ1
水:500ml
はちみつ:お好みで
作り方:
ナツメは種を取り除き、半分に切る
鍋に水、ナツメ、クコの実を入れる
弱火で15分煮出す
茶こしで濾し、お好みではちみつを加える
特徴: 血を養うとされるナツメとクコの実の組み合わせで、疲れやすい方や女性の健康管理におすすめ
心を落ち着かせるローズとナツメのティー
材料(2人分):
乾燥ローズペタル:小さじ1
ナツメ:3個
熱湯:400ml
作り方:
ナツメは縦に切り込みを入れる
ティーポットにローズペタルとナツメを入れる
熱湯を注ぎ、5分蒸らす
茶こしで濾して飲む
特徴: 心を安定させるとされるローズと、気を補うナツメで、ストレスの多い方におすすめ
温活サポートの人参と生姜のスープ
材料(4人分):
人参:2本
生姜:1片
玉ねぎ:1個
水:600ml
塩・胡椒:適量
オリーブオイル:大さじ1
作り方:
人参、生姜、玉ねぎをみじん切りにする
鍋にオリーブオイルを熱し、材料を炒める
水を加えて20分煮込む
ミキサーでなめらかにし、塩胡椒で味を調える
特徴: 体を温めるとされる生姜と、βカロテン豊富な人参で、冷え性の方におすすめ
血の巡りサポートの牛肉と赤野菜の煮物
材料(4人分):
牛肉薄切り:200g
人参:1本
赤ピーマン:2個
玉ねぎ:1個
だし汁:300ml
醤油・みりん・酒:各大さじ2
作り方:
野菜を一口大に切る
鍋で牛肉を炒め、色が変わったら野菜を加える
だし汁と調味料を加えて15分煮込む
味を調えて完成
特徴: 鉄分豊富な牛肉と赤い野菜で、血の巡りをサポートするとされる一品
赤い食材を取り入れる際の注意点
体質に合わせた選択
温性食材への注意:
羊肉、エビなど温性の赤い食材は、のぼせやすい方は量を調整
夏場は涼性の赤い食材(トマト、すいかなど)を中心に
冷え性の方は温性の赤い食材を積極的に
アレルギーへの配慮
注意が必要な食材:
エビ・カニなどの甲殻類アレルギー
ナッツ類が含まれる食材
特定の果物に対するアレルギー
初めて摂取する食材は少量から
バランスの取れた摂取
偏りを避ける:
赤い食材だけでなく、五色のバランスを考慮
一度に大量摂取せず、継続的に取り入れる
他の色の食材と組み合わせて調理
季節や体調に応じて調整
まとめ:赤い食材で心と血を豊かに
薬膳における赤い食材は、心と血に深い関わりがあるとされ、現代人にとっても魅力的な特性を持っています。ストレス社会で生きる私たちにとって、心の安定と血の巡りは重要なテーマです。
赤い食材活用のポイント:
色彩理論を理解して選択する
自分の体質や体調に合わせて取り入れる
季節に応じて食材を変える
バランス良く他の色の食材と組み合わせる
継続的に楽しみながら摂取する
日常への取り入れ方:
朝食にナツメやクコの実をプラス
サラダに赤い野菜を多く使う
おやつに赤い果実を選ぶ
薬膳茶で赤い食材を手軽に摂取
家族みんなで楽しめる赤い食材料理
赤い食材は見た目も美しく、食卓を彩る存在でもあります。薬膳の考え方を参考にしながら、現代の栄養学的な観点も踏まえて、バランス良く取り入れてみてください。
あなたの毎日が、美しい赤い食材とともに、より豊かで健やかなものになりますように。
※本記事でご紹介した内容は、中医学の伝統的な理論に基づく一般的な情報です。これらは治療を目的とするものではなく、個人の健康状態に対する保証をするものではありません。体調に不安がある場合や治療中の疾患がある場合は、必ず医師にご相談ください。食材アレルギーにも十分ご注意ください。



