薬膳の食材とは?初心者でもわかる基礎知識と体調別おすすめ10選
- 道敬 大塚
- 9月22日
- 読了時間: 6分

「薬膳に興味はあるけど、どんな食材を使うの?」「スーパーで手に入るもの?」そんな疑問をお持ちではありませんか。薬膳と聞くと、特別な漢方食材が必要なイメージがありますが、実は私たちの身近にある野菜や果物、肉や魚も立派な薬膳の食材です。この記事では、薬膳食材の基本的な考え方から、体調別のおすすめ食材、今日からできる活用法までを詳しく解説します。難しく考えず、まずは一つから始めてみましょう。
薬膳の食材とは?中医学の「性味」を理解する
薬膳の食材とは、中国に古くから伝わる中医学(中国传统医学)の理論に基づき、その性質や味が体に与える作用によって分類され、健康維持のために用いられる食品の総称です。
重要なのは、食材そのものに「病気を治す効果」があるのではなく、食材が持つ性質が体のバランスを整える「調整作用」に働きかけるという点です。この性質を理解するための鍵となるのが、「性(せい)」と「味(み)」の概念です。
食材の「五性(ごせい)」~体を温めるか、冷ますか~
食材は、体を温める度合いによって5つの性質に分類されます。ご自身の体質や季節に合わせてこの性質を選ぶことが基本です。
寒性・涼性:体の余分な熱を冷まし、炎症を鎮める作用があります。
代表食材:きゅうり、トマト、なす、バナナ、すいか、緑茶、豆腐、牡蠣
おすすめシーン:夏の暑さ対策、のぼせやほてり、口の渇き、イライラしている時
平性:温めも冷ましもせず、穏やかに作用します。どの体質の方にも比較的安心して使えます。
代表食材:キャベツ、にんじん、じゃがいも、さつまいも、米、大豆、黒豆、卵、イワシ
おすすめシーン:日々の食事のベースとして、胃腸を健やかに保ちたい時
温性・熱性:体を内側から温め、血行を促進し、新陳代謝を活発にする作用があります。
代表食材:生姜、にんにく、ねぎ、シナモン、桃、羊肉、えび、鶏肉、紅茶
おすすめシーン:冷え性、疲労感、風邪のひき始め、寒い季節
食材の「五味(ごみ)」~5つの味とその働き~
食材の味は、体に対する異なる作用があると考えられています。
酸味:引き締める作用(汗や尿のもれを防ぐ)→ 例:レモン、梅、酢
苦味:冷ます、燥わす作用(余分な熱や水分を除く)→ 例:ゴーヤ、緑茶、ふき
甘味:補う、和らげる作用(気力を補い、痛みを緩和する)→ 例:かぼちゃ、さつまいも、米、蜂蜜
辛味:散らす、通す作用(気血の巡りを良くする)→ 例:生姜、にんにく、ねぎ、唐辛子
鹹味(かんみ):軟らかくする作用(しこりを散らす、便通を促す)→ 例:昆布、わかめ、ひじき、塩
薬膳では、この「性」と「味」を組み合わせて、その時の体調に最もふさわしい食材を選びます。
体調別・おすすめ薬膳食材10選
ここでは、特に身近で使いやすい食材を厳選してご紹介します。あくまで食品ですので、日々の食事で無理なく取り入れてみてください。
生姜(しょうが)/温性
おすすめポイント:体を芯から温め、冷えによる痛みを和らげます。風邪のひき始めや、吐き気がある時にも。
食べ方のヒント:すりおろしてスープや紅茶に。焼き魚や肉料理の香味野菜として。
かぼちゃ/温性
おすすめポイント:胃腸の働きを助け、気力を補います。ビタミンも豊富で、体力が落ちている時や疲れ気味の時に。
食べ方のヒント:煮物やスープ、ポタージュにして。甘味があるので、スイーツにも。
れんこん/平性
おすすめポイント:肺や喉を潤し、咳を鎮めるサポートをします。食物繊維も豊富で、腸の働きも整えます。
食べ方のヒント:きんぴら、れんこんチップス、スープの具材に。すりおろしてつくねに混ぜても。
鶏肉/温性
おすすめポイント:気力を補い、体力を回復させるサポートに優れています。消化も比較的良いので、病後の回復期や虚弱体質の方にも。
食べ方のヒント:スープや煮込み料理で、うま味と栄養をまるごと摂取。
黒ごま/平性
おすすめポイント:腎の機能を助け、老化防止や白髪、耳鳴りなどのサポートに用いられます。髪や皮膚を潤す作用も。
食べ方のヒント:すりつぶしてごま和えに。ごま塩にしてご飯にふりかける。
はとむぎ/涼性
おすすめポイント:体内の余分な水分代謝を促し、むくみやだるさの改善をサポートします。肌のトラブルにも。
食べ方のヒント:お米に混ぜて炊く。ゆでてサラダやスープのトッピングに。
梅/平性
おすすめポイント:酸味で食欲を増進させ、夏バテ防止に。また、殺菌作用もあり、食中毒予防のサポートにもなります。
食べ方のヒント:梅干しを1日1粒。お茶漬けやおにぎりに。はちみつ漬けにしてドリンクに。
クコの実(ゴジベリー)/平性
おすすめポイント:肝と腎の機能を助け、目の疲れや滋養強壮のサポートに。ポリフェノールが豊富。
食べ方のヒント:そのままスープやヨーグルトにトッピング。お茶に入れても。
小豆(あずき)/平性
おすすめポイント:利尿作用により、むくみの改善をサポートします。食物繊維も豊富。
食べ方のヒント:あんこや小豆粥、小豆スープにして。
ブロッコリー/平性
おすすめポイント:ビタミンCが非常に豊富で、免疫力を高めるサポートに。ストレス対策にも良いとされます。
食べ方のヒント:さっと茹でてサラダや付け合わせに。スープやグラタンにも。
薬膳食材を生活に取り入れる3つのコツ
まずは「一つ」から始める全てを変えようとすると続きません。まずは「今日の味噌汁に生姜を加えよう」「ご飯に黒ごまをふりかけよう」など、できることから一つずつ始めてみましょう。
自分の体調と季節を意識する「今日は寒いから体を温める食材にしよう」「疲れているから気を補う食材を選ぼう」と、その時々の自分や環境に合わせて食材を選ぶ習慣をつけましょう。
無理せず、美味しく楽しむ「体に良いから」と嫌いなものを無理して食べる必要はありません。まずは自分が美味しいと感じるもの、食べやすいものから取り入れることが長続きの秘訣です。
薬膳食材に関する注意点
薬膳食材は食品です:病気を治療する医薬品ではありません。現在通院中や服薬中、妊娠中・授乳中の方は、かかりつけ医に相談の上、お楽しみください。
体質に合わない場合は中止を:冷え性の方が涼性の食材ばかりを過剰に摂取するなど、体質に合わない食べ方は避けましょう。体調の変化に注意し、違和感を覚えた場合は利用を中止してください。
バランスの良い食事が基本:特定の食材だけを集中して食べるのではなく、あくまで通常のバランスの取れた食事の一部として取り入れることが大切です。
まとめ:薬膳の食材は、毎日の食事を自分らしく整えるための選択肢
薬膳の食材とは、特別なものではなく、私たちの身の回りに当たり前に存在するものです。大切なのは、その性質を知り、「今日の自分に必要なものは何か」と自分自身に問いかけ、選択する意識を持つことです。
難しく考えず、まずはお気に入りの食材を見つけることから始めてみてください。その積み重ねが、あなたの食事をより楽しく、より健やかなものに変えてくれるでしょう。毎日の食卓が、自分をいたわるための小さな儀式になりますように。
免責事項:本記事でご紹介した内容は、中医学の知識に基づく一般的な情報です。効果・効能を保証するものではなく、医療行為を目的としたものではありません。体調に不安がある場合や治療中の方は、必ず医師や専門家にご相談ください。



