薬膳を知りたい人へ──身体と心に寄り添う知恵と暮らし
- 道敬 大塚
- 8月18日
- 読了時間: 3分

「薬膳」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?漢方のような苦いスープ、あるいは中国の伝統的な料理という印象を持つ方も多いかもしれません。
けれど、薬膳はもっと身近で、やさしく、私たちの日常に自然に溶け込む存在です。このブログでは、「薬膳を知りたい」と感じている方へ、基本的な考え方から、日々の暮らしへの取り入れ方までを丁寧にご紹介していきます。
薬膳とは? 〜「食べることで整える」知恵〜
薬膳とは、中医学(中国伝統医学)の理論をベースに、「体質」や「季節」、「体調」に合わせて食材を選び、調理する方法のことを言います。
薬膳の根本にあるのは、「未病(みびょう)」という考え方です。未病とは、「まだ病気ではないけれど、なんとなく不調がある状態」のこと。薬膳は、その“なんとなく”に気づき、整えるための知恵なのです。
そして、薬膳で使うのは特別な薬や珍しい食材ばかりではありません。生姜やネギ、ナツメ、黒豆、山芋など、スーパーで買える身近な食材も、立派な“薬膳素材”として活躍します。
体質と季節に合わせる薬膳の基本
薬膳では、すべての人が同じものを食べれば健康になるとは考えません。むしろ、「人それぞれの体質」や「その日の体調」に寄り添うことを大切にします。
また、四季の移ろいに応じて、自然のエネルギーも変化します。たとえば、
春は「肝(かん)」をいたわる季節。デトックスと気のめぐりを大切に。
夏は「心(しん)」を補い、汗で失われる水分や気を補う食材を。
秋は「肺(はい)」を潤し、乾燥に備える。
冬は「腎(じん)」を養い、身体を温めてエネルギーを蓄える。
このように、薬膳では季節ごとに“養うべき臓器”があると考えます。これは漢方でいう「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」の考えに基づいています。
薬膳は“食材選び”から始まる
薬膳と聞くと、難しそうな印象がありますが、実は「素材を知る」ことから始められます。
たとえば…
生姜:身体を温め、冷えを取り除く。
黒豆:腎を補い、アンチエイジングにも。
ナツメ:気を補い、心を落ち着ける。
ハトムギ:余分な水分を排出し、肌の調子を整える。
クコの実(ゴジベリー):目の疲れを癒し、血を補う。
これらの素材を、スープやおかゆ、お茶などに使ってみるだけで、立派な薬膳になります。
薬膳茶から始める、やさしい薬膳生活
「薬膳に興味はあるけれど、料理するのはハードルが高い…」そんな方には、薬膳茶から始めるのがとてもおすすめです。
たとえば…
ナツメとクコの実の薬膳茶:疲れやすいときに、やさしく気と血を補ってくれるお茶。
黒豆と生姜の薬膳茶:冷えを感じるときに。内側から身体を温めてくれます。
ハトムギと陳皮の薬膳茶:肌荒れやむくみが気になる方にぴったり。
お湯を注ぐだけで、やさしく身体を整えてくれる薬膳茶は、忙しい現代人の味方です。
「薬膳を知りたい」が「感じられる」に変わる瞬間
薬膳の一番の魅力は、「整ってきた」と自分で感じられるようになることです。
なんとなく体が軽くなった
疲れにくくなった
気分が落ち込みにくくなった
生理前の不調が和らいだ
朝の目覚めが楽になった
そんな体感が少しずつ訪れると、食べることの意味や、自分の身体との対話が深まっていきます。
薬膳は、「治す」より「寄り添う」。完璧を求めるものではなく、季節や体調、自分自身に気づくための“やさしいきっかけ”なのです。
まとめ:薬膳は、特別ではなく“日常”の中にある
「薬膳を知りたい」──その気持ちは、すでに薬膳の入り口に立っている証です。
難しく考えず、いつもの食事やお茶に、少しの“やさしさ”と“自然の知恵”を取り入れてみましょう。
今日の気分はどんな感じ?身体のどこに疲れを感じている?どんな香りや味に惹かれる?
そんな問いかけから、あなたの薬膳生活が始まります。
どうか、あなたの毎日が、より健やかに、よりやさしくありますように。



