top of page
検索

薬膳鍋の効果とは?体を内側から温めて整える、最強の養生鍋のすすめ

  • 執筆者の写真: 道敬 大塚
    道敬 大塚
  • 9月25日
  • 読了時間: 7分

薬膳鍋 効果イメージ画像

寒い季節になると恋しくなる鍋料理。その中でも、「薬膳鍋」はただ美味しいだけでなく、体の不調を整える効果が期待できると人気が高まっています。しかし、「薬膳って難しそう」「どんな効果があるの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、薬膳鍋は特別なものではなく、普段の鍋料理の具材とスープを少し意識するだけで、誰でも簡単に作ることができます。そして、その効果は「体を温める」だけにとどまりません。疲れやすい、むくみが気になる、風邪を引きやすいなど、さまざまな不調に合わせてアレンジできるのが最大の魅力です。

この記事では、薬膳の知恵を取り入れた「薬膳鍋」がなぜ体に良いのか、その理由と期待できる効果を詳しく解説します。基本の作り方から、体質別のおすすめ薬膳鍋レシピまでご紹介するので、今夜の食卓から、美味しくて体も喜ぶ薬膳鍋を始めてみましょう。


薬膳鍋が最強の養生食と言われる3つの理由

薬膳鍋が優れている点は、単に栄養価が高いだけでなく、「調理法」そのものに養生の智慧が詰まっていることです。


理由1: 体を芯から温める「温活」効果が抜群

薬膳の基本は、「冷えは万病の元」という考え方です。鍋料理は、温かいスープと具材を食べることで、内臓から体を効率的に温めます。さらに、薬膳鍋では以下の点を強化します。

  • スープに温め効果の高い食材を活用: 生姜や红枣(なつめ)、枸杞子(くこし)など、体を温める性質(温性)を持つ食材をスープのベースに使います。

  • スープを飲むことで水分補給: 体が冷える原因の一つは、水分不足による血流悪化です。温かいスープで水分を補給できるため、冷えの防止につながります。


理由2: 消化に優しく、胃腸に負担をかけない

薬膳において、消化吸収をつかさどる「脾(ひ)」の機能を健全に保つことは、健康の大前提です。薬膳鍋はこの点でも優れています。

  • 煮込む調理法: 食材をじっくり煮込むことで、硬い繊維が柔らかくなり、消化吸収がしやすくなります。

  • 汁物であること: スープと一緒に食べるため、胃腸が食べ物を消化する際の負担が軽減されます。

  • タンパク質の摂取が楽: お肉や魚も、煮込むことで柔らかく、食べやすくなります。


理由3: 食材の栄養を余すところなく摂取できる

炒め物や揚げ物と異なり、鍋料理はスープに食材の栄養分やうま味が溶け出します。そのスープをいただくことで、溶け出したビタミンやミネラルを無駄なく摂取できます。これは「一物全体」の考え方にも通じます。


薬膳鍋のキホン!基本の「土台」を作る3つの食材

難しく考えず、まずはこの3つを意識するだけで、立派な薬膳鍋の土台ができます。

  1. スープのベース: 「鶏ガラスープ」

    • 鶏ガラは、気力を補い、消化機能を高める最適なベースです。時間がなければ、無添加の鶏ガラスープの素でも構いません。

  2. 薬味の王様: 「生姜」

    • 体を芯から温め、冷えによる諸症状を改善します。スライスしたり、すりおろしてスープに加えましょう。

  3. 甘味とコクのアクセント: 「红枣(なつめ)」「枸杞子(くこし)」

    • 红枣(なつめ): 気血を補い、胃腸の働きを整えます。スープに自然な甘みを与えてくれます。

    • 枸杞子(くこし): 肝と腎の機能を高め、目や疲労回復に良いとされます。彩りも鮮やかになります。

これらを鍋のスープベースに加えるだけで、基本的な薬膳鍋の完成です。


体質・不調別!薬膳鍋の具材選びで期待できる効果

ここからが薬膳鍋の本領発揮です。ご自身やご家族の気になる不調に合わせて、具材をプラスしてみましょう。


【冷え性が気になる方】「温活鍋」で血流改善

  • 目標: 体の気血の流れを良くし、手足の冷えを改善する。

  • オススメ食材:

    • 羊肉(ラムやマトン): 薬膳では体を強力に温める食材の筆頭です。

    • えび: 陽気を補い、腎の機能を高めて温めます。

    • ねぎ、にら: 体を温め、気の流れを促進します。

  • スープのポイント: 生姜を多めに、シナモンスティックを1本加えても良いでしょう。


【疲れやすい、顔色が悪い方】「気血双補鍋」でエネルギー補給

  • 目標: 気(エネルギー)と血(栄養)を同時に補い、疲労回復と血色の改善を図る。

  • オススメ食材:

    • 豚肉、鶏肉: 気血を補う基本的な食材です。特に豚肉はビタミンB1が豊富で疲労回復に効果的。

    • レンズ豆、黒豆: 血を補い、腎の機能を強化します。

    • 人参、かぼちゃ: 消化機能を助け、ビタミン類で体の調子を整えます。

  • スープのポイント: 红枣(なつめ)と枸杞子(くこし)をたっぷりと。スープの甘味が増し、飲みやすくなります。


【むくみが気になる、体が重だるい方】「健脾利湿鍋」で余分な水分排出

  • 目標: 水分代謝を司る「脾」の機能を高め、体に溜まった余分な水分(湿気)を排出する。

  • オススメ食材:

    • はとむぎ: 利尿作用でむくみを取り、健脾効果があります。スープのベースに使うのがおすすめ。

    • 冬瓜(とうがん): 優れた利尿作用で、体の熱を冷ましつつむくみを取ります。

    • きのこ類(しいたけ、えのきなど): 食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、湿気を除去します。

    • 小豆: 利尿作用で知られる食材です。

  • スープのポイント: はとむぎを予めゆでてスープに使うか、きのこでしっかりとダシを取ります。


【風邪のひき始め、喉がイガイガする方】「潤肺鍋」で呼吸器を守る

  • 目標: 肺や喉を潤し、乾燥から守る。免疫力を高める。

  • オススメ食材:

    • 白きくらげ、梨: 肺を潤す代表的な食材。特に白きくらげは食物繊維も豊富。

    • 大根: 気の流れを良くし、痰を取り除く作用があります。

    • はちみつ(仕上げに): 喉を潤し、殺菌作用も期待できます。

  • スープのポイント: 鶏ガラスープで大根や白きくらげを柔らかく煮込み、最後にはちみつを少し加えて。


失敗しない!基本の薬膳鍋の作り方

【材料(4人分)】

  • スープベース: 水1500ml、鶏ガラスープの素(無添加)大さじ2、生姜1片(薄切り)、红枣(なつめ)5粒、枸杞子(くこし)大さじ1

  • 具材: お好みの肉(鶏もも肉、豚バラ肉など)300g、白菜1/4株、豆腐1丁、えのきだけ1袋、ねぎ1本 など

【作り方】

  1. 鍋に水とスープのベース材料(生姜、なつめ、枸杞子、鶏ガラスープの素)を入れ、火にかけます。

  2. 沸騰したら弱火にし、5分ほど煮てスープに風味をうつします。

  3. 火の通りにくい具材(根菜類、お肉など)から順番に入れて煮ていきます。

  4. 最後に葉物野菜や豆腐など、火が通りやすい具材を加え、さっと煮たら完成です。

  5. ※ポイント: 薬膳鍋はスープが命。具材を食べる前に、まずはスープを一杯いただき、体を内側から温めましょう。


薬膳鍋を美味しく健康的に楽しむためのアドバイス

  • タレは控えめに: 塩分の摂り過ぎはむくみの原因になります。ポン酢やごまダレより、スープ本来の味を楽しむことをおすすめします。

  • 〆は雑炊やうどんがおすすめ: 栄養が溶け出したスープを無駄なくいただけます。雑炊にすれば、主食も同時に摂取でき、消化も良いです。

  • 食べ過ぎに注意: 消化に良いとはいえ、一度に大量に食べると胃腸に負担がかかります。腹八分目を心がけましょう。


まとめ:薬膳鍋は、家族の健康を守る最強の家庭料理

薬膳鍋は、季節の変わり目や、疲れが溜まった時、家族の体調が気になる時にぴったりの料理です。特別な材料がなくても、冷蔵庫にある野菜と、生姜、なつめ、枸杞子といった常備品で簡単に始められます。

「今日は体を温めたいから生姜多めにしよう」「むくみが気になるからきのこをたっぷり入れよう」と、具材を選ぶ段階からご自身の体と向き合う時間は、それ自体が立派な「養生」です。

今夜の晩ごはんは、家族や大切な人と囲む食卓を、心も体も温まる薬膳鍋で彩ってみてはいかがでしょうか。


※この記事でご紹介した内容は、薬膳の考え方に基づく食養生の一例です。病気の治療や予防を保証するものではありません。体調に不安がある場合は、必ず医師にご相談ください。


 
 
bottom of page